冬の間休館していた日光市の霧降高原に立つ「森の図書館」が24日、開館する。地元の環境保護団体が「だれかに読ませたい大切な一冊を持ち込んで」と呼びかけ昨秋オープンした。今年は緑陰でゆったりと読書ができるよう、ベンチやブランコ、太い栗の木の高さ2メートルほどのところに作るツリーハウス、そこに通じる遊歩道も新設するという。

 「大切な一冊」は広がりをもってきた。4月上旬に霧降高原でコンサートを開いたフォークグループ「六文銭」の元メンバー四角佳子さんは絵本『ちいさいおうち』を、『日光避暑地物語』の著者の福田和美さんは自作を寄贈した。県内をはじめ北海道、東京、愛知などからも絵本、童話、小説、詩集なども寄せられている。

 図書館を運営するのは「日光森と水の会」(会員10人)。大切な一冊を読んだ人同士のつながりが生まれることを期待しており、何万冊といった蔵書は当初から想定していない。来訪者からは「のんびりした時間を過ごせた」という声もあるといい、代表の小坂憲正さん(40)は「厳しい世の中の現実を嘆くだけでなく、ゆったりと過ごせるもうひとつの現実もあることを知って欲しい」と話す。

 森の図書館は観光施設「日光霧降高原チロリン村」の中の斜面に立つ。元はロッジだった木造平屋建てで、緑色の屋根が目印。東京のNPO法人「アースマザー」の協力を受け、同会が昨年10月下旬に開館させた。

 開館時間は午前9時〜午後5時。火曜休館。利用は無料で、「チロリン村」の飲食店「カフェ・アウル」のスタッフに声をかける。問い合わせは「チロリン村」(0288・54・3355)へ。