東京新聞より

森の保全や環境教育に取り組んでいる日光市の市民団体「日光森と水の会」が鹿沼市児童養護施設ネバーランド」と協力し、地元・霧降高原の森に“ツリーハウス”を完成させた。関係者は「子どもたちの居場所になれば」と期待を寄せている。 (横井武昭)

 ツリーハウスは、以前から交流があった同施設と「自然の中で子どもも大人も楽しめるものをつくろう」と計画。子どもたちが描いたイメージ図を基に設計し、クリの木の上に設置した。

 間伐材のサクラを骨組みに使い、地上から二メートルの高さに畳三畳半の広さの小屋と八畳分のデッキを設けた。屋根に土をかぶせたり、周囲の枝の曲がり具合に合わせて壁を湾曲させるなど、自然に溶け込むよう工夫した。

 十日ほどかかった作業には同施設で暮らす小学生から高校生まで三十人が参加。カラフルな毛糸で扉を飾り付け、床のくぎ打ちやしっくいの壁塗りなどに汗を流した。

 宇賀神慶子施設長は「仕事を与えられて一人前の扱いを受け、普段と全く違った表情を見せてくれた」と目を細める。施設に入所する子どもは親からの虐待に苦しみ、精神的に不安定な場合が少なくない。しかし、森の中では一日何時間も集中し、生き生きとした表情で作業をこなしたという。

 同会の小坂憲正代表(42)は「私たち大人も楽しめたし、何より子どもが喜ぶ表情が見られてよかった。何かに疲れることがあったら、癒やしの遊び場として使ってほしい」と笑顔を見せた。