MTB霧降高原


日光市所野の霧降高原で、自転車で山道などを走るアウトドアスポーツ「マウンテンバイク(MTB)」のコース作りが進んでいる。地元住民らでつくる「日光森と水の会」のメンバーが市内のMTB愛好者と取り組む。観光振興だけでなく、森林保全の意味も込め、完成したコースは森林整備の管理道路としても活用する。来春のオープンを目指し、6日には現地で安全祈願祭が開かれる。

 中心メンバーは霧降高原で林業や観光業などを営む山本雄一郎さん(60)、仁一郎さん(35)親子。仁一郎さんが昨年秋、日光の山でMTBを楽しむ市内在住の米国人マーク・オーエンズさん(30)らと出会い、自転車で山道を走る壮快感を知り、「MTBが日光の自然に親しんでもらう新しいレジャーになる」とコース新設を思いついた。

 相談を受けた父親の雄一郎さんは「コースを管理道路として活用すれば森を守ることにもつながる」と賛同。10人以上の地権者から承諾を得て、市の地域振興事業に申請して事業費を確保した。

 コースは今年7月上旬から整備に着手し、10月中旬にほぼ完成した。スタートは霧降高原の第1駐車場で、ミズナラやカラマツなどの林を抜けて、ニュー霧降キャンプ場にゴールする。全長約3キロの下りコースで幅は2〜4メートル、標高差は約300メートルだ。自然環境に配慮して、道路の新設は全体の3分の1にとどめ、残りは旧道や昔の森林管理道路を復活させた。

 コース作りにはMTB歴14年のマークさんや、仁一郎さんの学生時代の先輩で同じく13年の関口純一さん(36)ら愛好者が協力。来年春のオープンに向けて、定期的に試験走行し、危険な場所などをチェックして完成度を上げる。

 マークさんは「コースの魅力を高めて、初心者から上級者まで楽しめる場所にしたい」と意気込み、関口さんは「地元に専用コースができるのはうれしい。MTBを楽しむ人が増えてくれれば」と期待を寄せる。

 コース利用の規則や営業期間、時間、料金などは来春までに決める予定。仁一郎さんは「将来はコース数を増やして霧降高原でMTBのイベントを開きたい」と夢を膨らませる。雄一郎さんも「コースが増えていけば、管理がおろそかになっていた場所にも人の手が入るようになる。日光の森林保全に関心を持つ人も増やしたい」と話している。

(2010年11月4日 読売新聞)